大郷町の「白狼神社」は白い狼のお墓

先日行った、「板谷西山大滝不動尊」には、「白狼神社」の石碑と小さな祠が合祀されていました。
以前は別の場所にあったものを移設したようです。

『このあたりに、むかし白い狼が住んでいて、その姿を見かけると縁起が良いと言われてきたが、ある日死んでいるのが発見されたので、手厚く葬った』

という伝説があるらしいんですが、これ伝説っていうか、地元のみんなで見守ってた野生動物が死んでたので、お墓を作った。っていうちょっと良い話ですね。神様として祀ったとか、祟られたから供養したとか、そういう由縁ではないようなので、どちらかというと「白狼の墓」的な石碑の気がしますが、「白狼神社」のほうが字面が格好良いので、いいと思います。

後ろに巨木があるせいで、引きで写真を撮るとこの通り、大きいのか小さいのか全然分かりません。石碑の高さは1mくらいですかね?ちょうど、実際のニホンオオカミくらいでしょうか?意図したわけではないでしょうが、その形と苔むした模様が、遠吠えしてる狼のようにも見えます。

↑こんな感じ

明治三十年
白狼神社
十一月廿二日□□ 建之

って書いてあります。□部分はよくわかりませんが、明治30年11月22日に建てられたらしいです。

明治三十年といえば、1897年。今から123年前。
きいて誰もが「あー、あの!」ってなるような出来事は特に無し。(Wiki調べ)
前年の1896年だったら、第一回の近代オリンピックがアテネで開催され、明治三陸大津波(死者2万名)があったそうで、まあそのあたりですね。

こちらの方のブログ記事「171 大郷町のオオカミ伝説(5)」によると、明治の中頃までは、このあたりでも夜になると、オオカミの遠吠えがよく聞こえて来たそうです。

しかし、この石碑が建てられてから8年後の明治38年1月23日、奈良県で捕獲された若いオスを最後に、二ホンオオカミの姿は確認されていません。絶滅したと言われています。

お正月には誰かがちゃんとお参りして、しめ飾りを飾って鏡餅をお供えした形跡がありましたが、普段訪れる人はないようで、水音だけがひびいていました。(ハギビスで荒れたせいもあるかもしれませんが)
周辺の山肌なんかも、だいぶ崩れていました。

こういった、地元の人と好事家しか訪れないような小さな神社仏閣は、いま、信仰している高齢者がいなくなったら消えてしまうのではないか…と不安になります。

ここが映えスポットとして大人気になったりしても困惑しますが、なくならない程度にはみんなに気にかけて欲しい…かつてここにニホンオオカミが住んでいたという事実の確かな証は、ずっと残っていって欲しいです。

小さな祠の中の、小さな小さなお犬さま。
でもこれイイ感じに古びて犬っぽくも見えるけど、本当はお狐さm…(手記はここで途切れている)